2021年8月23日月曜日

フラッシュクラッシュへの対応

 21年8月のゴールド相場のフラッシュクラッシュ


この記事では、今年発生したフラッシュクラッシュを解説します。
近い将来、どこかの相場で再び起こるかもしれませんので、フラッシュクラッシュの全体像を知っておきましょう
巻き込まれた場合の対処についても解説します。

画像は15分足です。
月曜日の朝方に、米雇用統計明け、東京休場、欧米夏休みなどの条件が重なっていました。
月曜日の朝ですが、窓を空けて注目されないように、慎重にスタートしている点も見どころ。
売り本尊の腕の見せ所です。
黄色の○あたりでショートエントリーできれば最高です。
少なくとも、怪しいなと思えたら素晴らしいです。

この部分だけ見ると、ふつうのレンジブレイクにしか見えないという人もいるでしょう。
ところが、下降した値幅がすごいし、わずか1時間でドカンといくところに注目してください。
損切り注文していないロング玉はロスカットまで飛ばされます(マジで)


画像は1時間足です。
下降する値幅が次第に大きくなっています。
フラクラの前営業日に発表された雇用統計で雇用拡大が示された結果、ドル買いが強まって300pips以上下げました。

値ごろ感からのロングや、リバ取り目的のにわかロングも時として有効ですが、この相場ではあっさり捕まって、損切りとなりました。

フラクラ3日前の急騰急落が伏線となって、買い方のやる気がだいぶ損なわれています。
関連記事もご覧ください。



今度はこのクラッシュに至るまでの状況を俯瞰してみましょう。
画像は4時間足です。
縦線(グリッド)は1週間間隔です。
6週間以上にわたって溜まったロングが、短期間の損切りによって、下げのエネルギーにされたという背景をご理解いただけるでしょうか。

このクラッシュの原因としては、米雇用統計で量的緩和の早期縮小(テーパリング)観測が出て悲観して売られた、と伝えられています。
一応解説しておくと、テーパリング→米ドル金利上昇を連想→米ドルを買い持ちする、ということです。
ゴールドの資産価値は高いものですが、ゴールド自体は金利を産まないため、米ドルに持ち替えるため手放された、ともいえます。


ここで、チャートをズームアップして5分足を見てみましょう。
月曜日の朝方、すぐに仕掛け始めて、レンジ下限を割り込むと損切りやロスカットが大量に発生して一気に下っていきます。

黄色の○あたりで、もしも売り仕掛けができたら、目をつぶってお祈りしましょう。
どこまで下がるかわかりませんので、気合を入れてグリップです。

反対に買い持ちが残っていたらどうでしょうか。
可能な限り損切りです
そしてドテン売り!
余力があるなら2倍、3倍の玉数でショートです。

ロスカットまで余力がないなら、一時両建てにするのもやむをえない選択肢です。
しかし、損切りドテンのほうがはるかに勝ります
余裕のない両建てはおすすめできません。


画像は1時間足です。
お気づきの人も多いと思いますが、クラッシュしながら下がっていく場面より、戻りに乗った方がいいのです。
フラッシュクラッシュの場合は、ファンダメンタルの後ろ盾がありませんので、下げ止まりからの戻りが強烈です。
再び5分足を見てみましょう。


下げに乗るのは難しそうですが、戻りのロングはできそうな気がしませんか。
一方方向に行き過ぎた相場の自然な戻りですので、積極的に乗っていきましょう。
桃色○でマークした部分がやりやすいでしょう。
また、水平線やトレンドラインの活用も有効です。

ですが、この戻りは世界中の投機家が狙ってきますので、極端な波形となることもあります。
損切り設定は徹底しましょう。

コツとしては、いかにも再下降しそうなところからのロングが狙い目です。


おしまいに、フラッシュクラッシュではない場合の大相場と比較しておきましょう。
例として、トランプ前大統領当選日の相場を取り上げます。
この相場は、「(可能性の一つとして)想定されていた大相場」ですので突然発生するフラッシュクラッシュとはだいぶ違います。
しかも、メジャー通貨が激しく上下しますので相場のパワーがけた違いです。
トランプ当選相場の場合は、ドル売りが一転してドル買いになるところに大きなインパクトがありました。
参考記事をご覧ください。


本当の大相場に比べれば、フラッシュクラッシュはワンパターンなため対応可能な気がしてきませんか。
様子見に徹するのもいいですが、もし巻き込まれた場合の対応については、トレーダーなら知っておいて無駄にならないでしょう。

また、極端にボラが大きくなりますので、方向を捉えられれば、大きな収益が期待できます。
トレードマニュアルの一つに加えておくことをおすすめいたします。
もしかしたら、来週の月曜日にフラクラが発生するかもしれませんので・・・

2021年8月18日水曜日

急騰からの急落

 レンジ相場で急騰と急落

急騰直後に急落した場合の動きを見てみましょう。
(画像はゴールド/米ドル 15分足 8月4日20時ごろ)


この記事の目的は2つで、まず強烈なブレイクアウトの形状の理解。
次に急反転して、急落となった場合のチャートの特徴を知りましょう。

レンジブレイクですので、既存のレンジ相場があるわけです。
まず、前提となるレンジの構造を確認しましょう。
レンジの構造とは、振り幅と長さです。


画像は1時間足チャートです。
時間足で全体像を見てみます。
左側にまずレンジがあって、その上にレンジ相場がくっついている形です。

二階建てという表現をしていますが、二つの層といってもいいでしょう。

・1階部分は1755$~1795$の40$幅
・2階部分は1795$~1830$の35$幅

今回の急騰急落は、二階建てレンジの二階部分で発生しました。

余談ですが、二階建てレンジは徐々に階段を上がって(下がって)いってブレイクアウトするパターンがあります。
また、1階~2階~1階という動きをしてから、反対方向にブレイクすることもあります。


上の図は、時間足チャートを拡大しています。
レンジ風の値動きからの急騰は想定していたとしても、二階の天井付近から一気に下降するとはなかなか読めますまい。

往って来い相場のときは、上昇にかけた時間より、下落は加速します。
下落の勢いで、上がり始めの出発点よりも下方に突き抜けることもしばしばです。

そもそも、この急騰の原因はADP雇用統計で米ドルが売られゴールドに割安感が出たこと、といわれております。
さらに急落は、FRB要人のテーパリング発言で米ドルが買い戻されたから、らしいです。

ニュースの真偽はともかく、後付けも可能ですのでニュースを待っていては間に合いません。
相場に参加していると、何の情報もないのに急騰・急落しますので、チャートしか頼るものはないのですね。


この急騰急落を15分足チャートで図解しました。
急騰は狙っていけそうですが、急落は苦手にしている人も多いのではないでしょうか。
具体的には損切りが出そうなラインから売っていくといいのですが、実践経験が必要になります。
知らないとできませんが、慣れれば、できます。

急騰急落相場の形状をご記憶ください。

もし、ご自分が参加していたらという気持ちでご覧いただくといいと思います。


おしまいに、この相場の5分足チャートで、詳しい値動きを確認しておきましょう。
上昇は階段状ですが、下降は一気だったことがよく分かると思います。

そして、この急騰・急落が3日後の相場の伏線であったかも知れません。
詳しくは次の記事で解説します。

2021年8月12日木曜日

ユーロドルの下降トレンド

 ユーロドルは下降トレンドを継続する可能性が濃厚です
期間は中長期です。

この日足チャートは普段使いしています。
MAは10日(灰)・20日(赤)・50日(緑)・144日・200日です。
ちなみに10・20・50はEMAで、長期線はSMAです。

200日移動平均線の分析精度を高めるための144日線となります。
7月30日に200日線・144日線がデッドクロスしました。
この2本のクロスは約1年ぶりです。


このデッドクロスの時点から、500pips以上の下げとなる確率は、単純計算で64%です。
(損切りを200日線越えとした場合)
過去8年間に、クロスが11回発生し7勝しているのが勝率の根拠です。

以下、2013年以降のクロスの発生状況を見ていきましょう。



直近は20年8月のゴールデンクロスです。
レンジ相場の上抜けを待つか、深い押しを捉えられれば勝ち易いと思います。
ゴールデンクロス後、一時50日線(緑)を深く割り込んでいますが、144日線と200日線のかい離は拡大し上方向を示唆していますね。


18年8月のダウントレンドは斜めレンジが長く続き、値幅が稼ぎづらい相場でした。
ショート目線を維持して50日線や144日線への戻りを捉えたい相場。
なお、戻りが200日線を越える場面があり、その時点で損切したものとカウントしています。


17年のアップトレンドはダウ理論の教科書に載せてもいいような見事なものです。
上昇起点は1月ですが、4月のギャップアップが印象的です。
144・200日のゴールデンクロスは7月ですので、ずいぶんゆっくりな気がしますね。
ゴールデンクロスの翌日にロングエントリーしたとしても最大約1100pipsの勝利となります。
2本のMAの角度とかい離にご注目ください。




次は16年11月のデッドクロス。
これはデッドクロスの直後にものすごい長さの上ひげが出ています。
お気づきの人もいるでしょうが、トランプ前大統領当選の日ですね。
デッドクロスで売りエントリーした場合、200日線越えでいったん損切となりますが、その後の上ひげで再エントリーも可能だったと思います。

16年6月のゴールデンクロスはダマシです。
MAが横向きになっていて、チャートもレンジ相場になっているため、裁量でエントリー回避できたのではないかと思います。

この手法のコツは、プライスやMAの傾斜やパーフェクトオーダー、プライスとMAのかい離などでパターン化しておくことでしょう。
形状をよく記憶しておきましょう


15年のクロスは、結論から言ってしまうと、両方ともダマシでした。
やはり200日線がほぼ横向きで、チャートは不定形のレンジです。


14年のクロスは長大な下落トレンドの途中に出現しています。
デッドクロスと同時にエントリーしても、ナント2700pipsも下落していきます。
終わってみれば長大なトレンドとわかりますが、その途中ではどこからエントリーするか決めづらいものです。
そこで、こういう分かりやすいシグナルにも利用価値があります。


13年のクロスは最初はダマシです。
9月のクロスは押し目が深くなるため、強力なグリップで500pipsを取りましょう。


2021年6月23日水曜日

恐怖の逆N字

 画像はドル円の15分足で昨日の20時30分時点のものです。

この後どうなりますか?













陰線がまるで曳光弾のように落ちてきているのが分かると思います。

この右肩下がりの逆N字形状は、買い方にとってはほんとうに危険な兆候です。

売り方にとってはよだれが出る場面で、見つけたらすぐに叩いてきます。

結果は下記のとおりです。












ここまではっきりした形状はあまり出現しませんので、もし出現したらすぐに対応しましょう。

ましてや、ドル円が111円突破の新値を付けた直後ですので、巻き込まれた買い方は多かったと思います。

しかし、この怖い線組みを知っていれば何とかできると思います。

イメージで記憶しておきましょう

ぜひ、活用してください。

ちなみに、上昇中にでるN字は不発のことも多いので、まず、下がる前兆である逆N字をマスターしましょう。

サポレジラインとは?

 サポレジラインとは、サポートライン(下値支持線)・レジスタンスライン(上値抵抗線)の総称という解説も間違いではありません。

では、下記の画像をご覧ください。

ポンドルの日足ですが、1.4000付近に引かれた水平線は何だと思われますか?








これがサポレジラインです。

サポートラインでもあり、レジスタンスラインでもあります

現在のポンドル相場で最重要のラインです。


水平線には3種類あると考えております。

1 サポレジライン(重要)

2 サポートライン

3 レジスタンスライン

水平線はプライスが止まるか抜けるかを見ているわけですが、サポレジラインは相場にゾーンを生み出す役割があります。

よってサポレジラインブレイクは、単なるトレンド継続(転換)ではなく、舞台が変わるのです。


野球でいえば甲子園から東京ドームに移動し、競馬でいえば東京と中山の違いといえます。

似て非なる世界に移動するのです。

貨物船がスエズ運河を抜けて地中海に入るようなものです。


そういう感覚で相場を見ていますと、次のサポレジ帯についても理解できるでしょう。

とても重要な概念だと思います。









画像はゴールド相場がはまり込んでいるサポレジ帯です。

抜けられそうでなかなか抜けられません。

しかもサポレジ帯の中は激しいレンジ相場になっていることが多いです。

いずれサポレジ帯を抜けるときが来ますが、上に跳ねれば高値追求の舞台に戻ります。

下抜けすれば1745-1675$という、さらに堅いサポレジ帯が待っていますので激しい相場が続きそうです。

P15手法~⑤もっと簡単な説明

前の記事をもう少し分かりやすく説明したいと思います。 まず、下記の模式図をご覧ください。黄緑のギザギザがプライス、赤い水平線がピボットポイントで、「ショート目線」だと仮定しますね。 相場のパターンとしてレンジがあってブレイク、そして次のレンジに入るものだと理解しておきましょう。 ...